◇協働とは

協働(パートナーシップ)とは、共通する課題や目標に対して、その解決や達成のために、様々な「主体」が協力し合うことです。

 

協働は、上記の目的を達成するために、それぞれが単独で行うよりも経済的・労力的・時間的・場所的・手段的・内容的など色々な観点でより上手くいくと考えられるときになされるもので、その方法は一つではなく、互いの持ち味を活かせる、さまざまな協働のあり方を模索する必要があります。

 

異種・異質の組織(協働の相手方)としては、NPO、ボランティア団体、住民活動団体、地域コミュニティ組織、行政、企業などが挙げられ、事業や内容によって、無限の組み合わせが考えられます。 

 

coproduction co「共に」production「つくる」が語源

 

◇協働の主体

行政、団体、企業、学校などです。法人格の有無は問いません。

さらに、団体には、特定の目的のために集まった「志縁団体」と、地域に基盤を置く「地縁団体」とがあります。

 

【志縁団体】

特定非営利活動法人、住民活動団体、ボランティア団体、委員会、協会、愛好会など

 

【地縁団体】

行政区、自治会、町内会、子ども会、PTA、長寿会など

一定の区域内で形成されるコミュニティ

 

◇協働の基本的な考え方

住民はサービスの「受け手」であり、公共的サービスの提供を担ってきたのは主に行政でした。しかし現在、住民はサービスの「受け手」から、主体的なサービスの「提供者」として生まれ変わりつつあります。

つまり、住民の思いを活動につなげる仕組みとして、また公共の分野におけるサービスの新しい提供者として、NPOにその役割が期待されています。

こうした公共の分野におけるサービスの新しい提供者NPOは、行政や企業とともにお互いの特性を認識しあいながら対等な立場で協力しあい、社会的課題解決に取り組むことで、より良い社会づくりの担い手として貢献できます。

NPO、企業、行政など、それぞれがお互いを尊重してパートナーシップを結ぶことが協働の基本であり、地域づくりの重要なパートナーとして大変意義深いものがあります。

 

◇協働のねらい

地域の多様なニーズに柔軟に対応し活躍しているNPOと、対等な立場で役割分担を明確に協働を進めることにより、住民が自主的・自立的に活動、活躍する機会の増大と、誰もが生きがいのもてる地域づくりを目指します。

  

◇協働の期待される効果

NPO、行政、企業それぞれが持つ「力」(人、物、資金、アイディア、情報など)を出し合い実行する協働は、それぞれが独自に事業を行う場合に比べ、より高い成果を上げることができます。

 

【住民にとって】

・NPOにはボランティアなど多くの住民が関わっています。協働により多くの住民が行政に参画する

 こととなり、住民自らが公共的サービスの提供主体となることで、行政が行う事業やサービスについ

 ての住民の議論が深まります。

・きめ細やかで柔軟なサービスを受けることができます。

・多彩な知識や経験を持った住民が、活躍できる場や雇用の機会が創出されます。

 

【NPOにとって】

・行政や企業との協働によって自らが掲げる理念や目的を、より効果的な社会貢献活動を実現できる

 ようになります。

・社会的な理解や評価が得られるとともに、財源なども得ることができ、組織としての体質強化につ

 ながります。

・協働の積み重ね、協働領域の広がりにより、新たな活動の場が広がります。

 

【企業にとって】

・NPOとの協働によって、より効果的な社会貢献活動を実現することができます。

・NPOとの協働を通じて、地域社会との結びつきを強化することができます。

・企業のイメージアップにつながります。

 

【行政にとって】

・政策立案、企画、事業実施にあたって、柔軟な発想と多様で専門的なノウハウを持つNPOが参

 画することにより、質の高い行政サービスを創出し、多様化する住民ニーズに対応することがで

 きます。

・異なる価値観や行動原理を持つNPOとの協働によって、職員の意識改革や行政の体質改善に繋

 がる契機となります。

・事務事業の見直しにつながり、行政の効率化を図ることができます。

 

◇協働の形態

協働の形態は、協働事業を行うにあたってのNPO、企業、行政の関わり方で、次のような手法があります。

協働事業を行う場合は、事業の目的、内容、実施方法などに合わせて、NPOの持つ多様性や専門性などの特性を効果的に生かすことのできる協働の形態を選択する必要があります。

 

【政策提言・政策形成への参画】

NPOからの提案を受けたり、審議会・検討会等への参画を求めるなど、計画立案・政策形成過程に意見を反映するもの。

 

【事業協力・事業協定】

NPOとの間で、互いの特性を生かす役割分担を定めた協定書を締結するなど、一定期間、継続的な関係のもとで事業を行うもの。

 

【実行委員会・協議会等】

NPOが参画した「実行委員会」「協議会」等が主催となって事業を行うもの。

 

【共催】

NPOと共に主催者となり、共同で一つの事業を実施するもの。

 

【後援】

NPOが主体的に行う公益性の高い事業等に対して、後援名義の使用を認めることで、信用を付与し、NPOを支援するもの。

【補助】

NPOが主体的に行う公益性の高い事業に対して、申請に基づいて資金提供を行うもの。

 

【委託】

事業を遂行するのに相応しいNPOを相手方として委託するもの。

 

【その他】

上記以外にも多様なニーズに対応して、NPOとの合意のもと、双方が持つ人材・情報・ノウハウなどを提供し合い協力する協働の形態には、様々なものが考えられます。

 

◇協働する場合の5つの原則はこれ!

(1)目的共有の原則

 ・「協働」という手法を用いる意味、目的を明確に持ち、それを共有しましょう

 ・すべての事柄に「協働」という手法がなじむわけではないので、「協働」ありきではなく、個別具体的

  に判断して行きましょう。

 

(2)自立・対等の原則

 ・「協働」は、対等なパートナー関係であることを常に意識しましょう。

 ・NPOの特性が生かされるよう、その自主性を十分に尊重し、過度な干渉や一方的なルールの押し付け

  がないよう注意しましょう。

 

(3)相互信頼の原則

 ・十分なコミュニケーションを図り、情報を共有し、相互の信頼関係を築いていきましょう。

 ・お互いに高めあいながら、必要に応じ自己変革していきましょう。

 

(4)役割・責任分担の原則

 ・それぞれの得意な部分を活かした役割分担をするとともに、責任の所在や範囲を明確にしておきまし

  ょう。

 

(5)透明性の原則

 ・協働のプロセスにおける情報は、できるだけ公開して透明性を確保しましょう。

 ・協働の関係がむやみに固定化、長期化し癒着が生じないよう、時限性なども考慮しましょう。

 

◇NPOとは

NPOとは、英語の「Non-Profit Organization」の頭文字をとった言葉で、日本語では「民間非営利組織」などと訳され、営利を目的としないで社会や人のためになる事業を行う民間の団体をいいます。

 

行政や企業も社会や人のためになる事業を行いますが、行政の場合は多くの人から賛同を得ないと行えませんし、企業の場合は利益にならないことばかり行うことは考えにくいですよね?

 

NPOは、行政のように社会のことを考え、企業のように自由で柔軟性があり、同じ思いや情熱を共有した人たちが、職業や社会的立場に関係なく対等の立場で、一定の地域や範囲に捉われずに社会貢献活動を行います。

 

さらに、NPOが法人化したものがNPO法人です。

法人化すると、事業やお金の流れなどを社会に公開しないといけませんが、逆を言えば自分たちの存在と透明性を示すことができ、社会的信頼も得られるのです。

更に、NPO法人になると、NPO名義で銀行の預金通帳が作れたり、固定資産の物件を所有し所有権の登記が出来るようになるなど、メリットもたくさんあります。

また、NPO法人を対象とした助成もあります。

 

◇NPOの特性

NPOの活動や提供するサービスには、次のような特性があります。これらの特性を生かし、十分に生かせる協働を行う必要があります。

 

(1)多様性

NPOは、社会的課題の多様化・複雑化に対応して、独自の価値観に基づき、幅広い分野で取り組みを行います。様々な課題に取り組むNPOの活動は多様な社会サービスを生み出します。

 

(2)専門性

NPOには、社会的使命に共感し、職域を越えて様々な経験や専門知識を持った人材が豊富に存在することが多い

と言えます。また、活動が継続的に行われることで、その分野における専門性やノウハウが蓄積されていきます。

 

(3)先駆性

目前にある課題を何とかしようと行動する点で、行政などが制度的に対応しにくいような社会の新しい課題に、先駆的に取り組むことができます。

こうした先駆的な活動の中には、後に、社会の理解や賛同を受けて、行政が事業化したり、制度化するものもあります。

 

(4)柔軟性

NPOは、必要と思われるところに必要な方法でサービスの提供を行います。その時々の状況に応じて、臨機応変に行動できる柔軟性を有しています。

 

(5)地域性

地域のニーズを的確に汲み取り、住民の視点から活動しており、優れた現場感覚を有しています。

また、その活動は、行政区域を越えて、必要なところへ必要なサービスを提供することができます。

 

 

◇NPOの社会的役割

NPOには、次のような社会的役割が期待されています。

 

(1)自己実現、生きがい創造の場

知識や経験、資産等を持つ個人や企業等が、自らの価値観に合ったNPOを選択し、ボランティアとして参加、あるいは寄付等でNPOの活動を支えることを通じて、自らの思いを実現し、生きがいを創造していく場として役割を果たします。

 

(2)公共的サービスの提供と提言

県民や地域のニーズが多様化する中、地域に根付き、生活のあらゆる場面にわたって様々な活動を継続的に行うNPOは、行政とは違う新たな公共的サービスの提供主体として期待されるとともに、その活動を通じて発見したニーズを解決するために、新しい公共的サービスの必要性を提言する役割も担います。

 

(3)地方自治の推進役

地域の課題に主体的に取り組むNPOには、従来のコミュニティ組織(自治会・町内会等)と連携・協力しながら、新たな地域社会の形成・変革主体として、分権型社会における地方自治の推進役を担っていきます。

 

(4)雇用創出の場、新しい働き方の実現主体

NPOが継続的に質の高いサービスを提供していくためには、活動や組織の運営を支える有給の専従スタッフの存在が不可欠になってきます。

この時点で、自分に合った働き方や地域に貢献できる仕事を提供していけるNPOは、「雇用創出の場」「新しい働き方の実現主体」としての役割を担います。

 

(5)行政のパートナー

人々の社会的ニーズが多様化している現在、同じ公益性を追求するNPOと行政は、互いにその特性を認め合い、役割分担することで、社会の課題を共に考え、解決していくパートナーとなります。

 

◇NPOがNPO法人になるには

【NPO法人として認証を受ける条件(全て満たす必要)】

特定非営利活動(注)を行うことを主たる目的とすること

②営利を目的としないものであること

③社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと

④役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること

⑤宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと

⑥特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと

⑦暴力団又は暴力団若しくはその構成員若しくはその構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制の下にある団体でないこと

⑧10人以上の社員を有するものであること

 

(注)特定非営利活動

1) 次に該当する活動であること(法律の別表)

①保健、医療又は福祉の増進を図る活動

②社会教育の推進を図る活動

③まちづくりの推進を図る活動

④観光の振興を図る活動

⑤農村漁村又は中山間地域の振興を図る活動

⑥学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

⑦環境の保全を図る活動

⑧災害救援活動

⑨地域安全活動

⑩人権の擁護又は平和の推進を図る活動

⑪国際協力の活動

⑫男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

⑬子どもの健全育成を図る活動

⑭情報化社会の発展を図る活動

⑮科学技術の振興を図る活動

⑯経済活動の活性化を図る活動

⑰職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

⑱消費者の保護を図る活動

⑲前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

⑳前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 

2)不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものであること

 

【認証の申請先】

 各都道府県(群馬県の場合は、群馬県NPO・ボランティア推進課です。)

 

◇NPOとボランティア団体の違い

NPOもボランティア団体も社会貢献活動を行うところは同じですが、成り立ちが全く違います。

 

ボランティアは、志願兵あるいは義勇兵が言葉の語源で、自発性、無償性、利他性、先駆性の4つを柱として、自主的・主体的に社会活動をする個人を指します。(近年では、かかった費用の実費のみをいただく『有償ボランティア』もあります。)

ボランティア団体は、活動内容が同じ個人(有志)が集まって出来た組織です。

 

一方、NPOは、それ自体が地域課題の解決や社会的ミッションの達成をしようとする組織を指します。

 

つまり、ボランティアは活動する人ありきの『動機重視・自己実現型』、NPOは課題解決やミッションを達成するための組織ありきの『成果重視・課題解決型』と言えるでしょう。

 

もちろん、NPOの趣旨に賛同してその活動に加わるボランティアが居る、という関わりは当然にあるでしょう。

 

◇住民活動団体とNPOの違い

住民活動団体とNPOは、共通している部分が多々あります。

 

強いて違いを挙げるとすれば、NPOには代表者が居ること、会則が定めてあることなど組織的なことが挙げられます。

 

さらに、NPOは組織自体に課題解決やミッション性を持っているのに対し、住民活動団体は、活動したい意識をもった住民が集まり、ボランティアやミッションだけに捉われずに活動する団体と言えます。

 

住民活動団体は、組織的にはボランティア団体に近いと言えばイメージしやすいと思います。

 

◇地域コミュニティ組織とは

地域コミュニティ組織とは、町内会、自治会、あるいはそれをベースにしたさまざまな組織で、行政上の区域や範囲内で住民の相互扶助や自治的な活動を行う組織を指します。

 

自治会、町内会の他、婦人会、青年団、消防団など日本には多数存在します。商店会や農協・漁協などの地域産業組織、あるいはまちづくり協議会などの全員参加を前提とする組織も、これに準ずるものと考えてよいでしょう。

 

NPOが一定の地域に捉われないものに対して、地域コミュニティ組織は逆に地域に根ざしたものであると言えます。

 

◇コミュニティとは

コミュニティとは、前述してきたNPO、ボランティア団体、住民活動団体、地域コミュニティ組織などの“人の集まり”の全てを一言で表現した言葉です。

 

◇行政と協働する方法

行政との協働には、広く捉えると大きく3つのケースが考えられます。 上に書いてあるものほど「協働度」が高いと言えるでしょう。

 

【共催・共同運営】

イベントや講座の開催などを行政と対等な関係で共同で行うもので、行政以外の団体や組織がアイディアやボランティアを、行政が資金や場所を提供するといった関係です。

 

【補助・助成】

ある特定の活動を行政以外の団体や組織の主体性によって行う場合に、その費用の一部を公的な資金で支援するもので、一般財源で行う他、条例による基金、公益信託の設定によるものなどがあります。

 

【委託】

行政以外の団体や組織に、講座の開催、住民活動団体に関する調査研究、公共施設の管理運営などを委託するものです。

行政が基本的な予算や枠組みを先に決める場合が多いのですが、企画の段階から委託先の意見を取り入れるケースもあります。